†導かれる聖女†
「あなたの傍で言葉は無くても見守ってくれた人、あなたが罪を犯しても最後まで味方でいてくれた人…
本当にあなたにはいなかった?」
その命を終えるその時まで…
傍にいて見守ってくれていた人……
私にリドムがいたように、アデルの傍にいた人…
肉体を失ってもなお、魂のまま彼の傍にいた人…
『……父サン……』
アデルは小さく、それでも確かにそう呟いた。
「ほら…あなたにもちゃんといた…。あなたの傍にはお父様がいてくれた。
それがあなたが気づけなかった愛の形…」
近くにありすぎて、そして愛情から遠かった私達の大きな罪…
『父サン…父サン…』
「…アデル……」
何度も大切な者の名を呼ぶアデルに、私はそっと触れる。
アデルはビクッと肩を振るわせた。
「…………もう大丈夫…
あなたはちゃんと愛されていたよ…」
そういえばアデルは一度目を見開き、笑顔を浮かべた。
『…愛サレテタ…ボクは…愛サレテタ……』