†導かれる聖女†
「……行ったのか?」
いつの間にか隣に立っていたルークに私は無言で頷く。
「あとは…あれだけだな」
目の前に在るまがまがしい魔の気配。先程までアデルの中に存在したモノ。
「…アンデット……
あなたの犯した罪は
万死に値する……」
私はアンデットを前に立ち、睨みつけた。元の元凶、災厄の種……
「人の心を利用し無断で踏み荒らし、その体を喰らう悪魔よ…消えなさい」
私がそう言うと同時に、ルークがアンデットに斬り掛かる。
―ザシュッ
「…呆気ないなアンデット。
お前に還る場所も無いんだろう……消えろ」
―パリンッ
アンデットの体が硝子のように砕け散る。
「…ありがとう…ルーク。あなたのおかげで…たす…った……」
―グラッ
「…っ!!!!」
体が前のめりになるのをルークはすかさず抱き留めた。
「無理ばかりする…お前は守られていればいいだろう?
何故自ら死に急ぐ?」
ルークの紅い瞳が怒っているように見える。
気のせい…?
ルークが怒る理由も
分からないわけだし……