†導かれる聖女†
「…あそこだな」
ルークの目が開け放たれた窓一点に向けられる。
窓を見て何を……まさか…
「行くぞ」
「えっ…ひゃあぁぁぁっ!!」
胃が持ち上がる感覚が体を硬直させる。
「ここなら平気だな」
ケロッとしているルークに対して私はヘロヘロだ。
これも人間と吸血鬼の違い?
「ただ乗りだね」
「今回は金がかからなくて助かった」
何処かの空き部屋に入った私達はその部屋を借りる事にした。
「ルーク、この格好は流石に…
目立つんじゃない?」
私の白のワンピースに首から下げた十字架(ロザリオ)。これは信教・聖職者の多くが住まうルベール地方の特徴的な正装だ。
ルークは黒のローブに白のシャツ、長い脚に合った長いズボン。
ようするに私だけが浮いているという事だ。
「あー…セシル、お前の服は俺が何とかする」
待ってろとルークは足早に部屋を出て行った。
「ル、ルーク……」
かりにも侵入者だっていうのに…
なんて堂々としてるんだろう…
尊敬します……