†導かれる聖女†
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『レイナ!!!
頼むよ…目を開けて!!』
何度も何度もレイナの肩を揺さぶる。
それでもレイナは目を覚まさない。
レイナの胸から流れる血を、必死に止血する。
『止まらない…
どうして止まらないんだ!!』
どうして…レイナが
こんな目に……
『………っ…ゴフッ…
ティア…ネ…イ…』
俯いていると、愛しい人の声が僕を呼んだ。
バッと顔を上げ、レイナを見つめる。
虚ろな瞳のレイナは小さく笑っていた。
『ティア…ネイ…
私…は…大丈夫……
あなたは早く…此処からっ…』
苦しげに胸を押さえ、レイナはそれでも笑みを作る。
『嘘つき…』
レイナが嘘つく時は必ず
笑顔を作る。
本当は苦しいくせに
無理に笑って……
『レイナを一人になんてしないよ。一緒に逃げるんだ』
レイナを横抱きにして
甲板まで上がる。
大丈夫…まだ見つかってない。レイナを抱えたまま非常用ボートで逃げれば…
そんな事を考えていた時、何かを引きずるような金属音が聞こえた。
―ギギ…ギィ…キキィ…
来た……あいつが来た!!