BOND
もしかして‥記憶喪失…?




「あ、俺は武藤快。俺たち学校一緒なんだ。バイトも。」


「そう。私は…えっと…。」


「知ってるよ。気分はどう?」


「うん‥いい。」




そう言って微笑むが、どこか寂しそうだ。



「ごめんね‥思い出せないの‥。」


「無理に思い出さなくていい。生きててくれただけで、十分だ。」


「っ‥武藤くん、優しいんだね。」




そう言って笑った顔は俺の知ってる越智だった。




俺も微笑み返した。



「何か懐かしい感じがする。」


「そうか?」


「うん。」




俺は越智の頭を優しく撫でた。





顔を赤く染めて笑う越智にドキッとした。





そして辛くなり、また来ると言って病室を後にした。







越智‥。






廊下を歩いていると、前からあいつが来ている。
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