BOND
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そしてドラマの撮影が始まった。





毎日バタバタと過ぎていく。






「カット!友ちゃん、もっとこう、自然に泣いて。」


「‥はい。すみません。」


「ちょっと休憩にしよう。」





監督の一言でみんなが散っていく。




「友ちゃん、過去で辛いこととかなかった?」




豊川さんが私のもとに来て言った。




「ありましたけど。」


「そのときのことを思い出して泣くといいわ。」


「…。」




二年前、屋上から突き落とされ、記憶を失った。





裕に騙され、快を傷つけた。





それを思い出しただけで目の前がぼやける。




「それよ!いい感じ!」


「‥はい。」



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