BOND
秀さんは立ち上がり、私の背中をそっと押した。





私は秀さんに見送られ、久々に家に帰った。










「じゃあ、友美ちゃん‥。」


「あ‥ありがとうございました。」





私は軽くお辞儀をした。




「君は最後まで優しいな。こんな俺を攻めないんだから。」


「…秀さんを恨んだりはしません。」


「…。」


「誰にだって、自分に持ってないものに憧れます。」


「っ‥そうだな。」





フッと笑う秀さんの目には薄っすらと涙が光った。






「秀さん、一つ。お願いがあります。」



「何?」
< 422 / 432 >

この作品をシェア

pagetop