殺害依頼
場所を変えよう。

そう言われ連れてこられたのは、近くの公園だった。

時間が時間なので当たり前だが、人一人いる気配がない。

誰にも聞かれたくない話、か。

ますますうさんくさくなってきたな。

公園入口の自販機で男は、缶コーヒーを二つ買い一つを俺に手渡した。

「どうも」

短く礼を言って受け取る。
あまり冷えていないようで、缶の表面はぬるかった。

「あそこで座って話そうか」

そう言って指さしたのは古ぼけたベンチだった。

軽く頷いて従う。


正直、あまり期待はしていなかった。

ここに来るまで色々考えてみたが、やはりおかしなことが多い。

男と俺は初対面のはずだ。
なのに何故、俺の名前を知っていたのか?

それにあの言葉。

「金がほしくないか」

俺が金に困っているのを知っていたとしか思えない。
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