黒龍
KANAME

俺は女が嫌いだ…

けど、蘭は違った。

女はみんな香水の匂いを撒き散らして気色の悪い声を出して寄ってくる女とは違った。

だから…

蘭なら真剣に聞いてくれると思った。

だから、話してみようと思った。


「話し…聞いてくれる…か?」

絶対笑われると思った。

なのに…。

「笑わないよ。だって要が真剣に話すんでしょ?だったらそれに答えるなら絶対に笑ったりしない」


俺は驚いた。今まで話した奴の中にこんなことを言った奴はいなかった。

笑わないって言った奴はいたけど、結局笑った…。

だけど、蘭なら信用できると思った。

「そうか…」


「でも…もし、要が無理に話そうとしているなら私は聞きたくない。

要が話して楽になれば…前に進めればいいけど、そうじゃなくて無理に話そうと

しているなら聞きたくない」


初めてだった。

俺のこと気にして、自分は二の次で…。

絶対、蘭になら話せる…

そう思った。

「…無理はしてない。大丈夫だ」

「そっか、それなら…」

俺は静かに話し始めた……。






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