メルト
先生が助手席のドアを開けて助手席のシートを叩く。
「乗っていいんですか!?」
あたしが聞くと先生は頷いた。
「急げ!!俺も遅刻する!!」
先生に腕を引っ張られて強引に車に乗せられた。あたしがシートベルトを締めると先生はアクセルを踏んだ。
「先生、ありがとうございます…でも、良いんですか?」
横顔に問いかけると、先生は前を見ながら答えた。
「何が?悪いことじゃないだろ?むしろ遅刻しそうな生徒を助けたんだから褒められるべきだな」
先生がそう言うから別にいいらしい…でも、先生と生徒が一緒に登校って勘違いされないのかな?

その…付き合ってる、とか。

あたしの不安をよそに車は学校に着いてしまった。
先生は生徒玄関にあたしを降ろすと駐車場に向かった。
「これ、内緒だからな?」
先生はあたしを降ろす前にそう言った。
玄関には生徒の姿が無くて遅刻ギリギリなのを実感した。
先生の車…先生の匂いがした。香水じゃなくて、なんか癒される匂い。
って、なんであたし先生の事考えてんの!?

キーンコーンカーンコーン…

チャイムが鳴ったからあたしは回想から現実に帰ってダッシュで教室に向かった。
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