甘きゅん【完】
ありえない。
ありえない、この状況。
ピンポンパン…
放送室からおなじみの音が聞こえてくると、それに続くのは――…
「来栖若菜。
10秒以内に生徒会室に来い」
のどかな、のどかなお昼休みを邪魔する悪魔の声。
「うぐっ…」
そんな悪魔の声に、食べていたサンドイッチをのどにつまらせ、
「げほげほっ…」
むせ返るあたしに、梨奈は言う。
「いいなぁ、若菜。
また呼び出しされてるよ?
あんた、生徒会長様のお気に入りだもんね。
羨ましいなぁ。
あんなイケメン」