甘きゅん【完】
そんな意地悪なことを考えて、まわりでぴよぴようるさい女に、


「ん――…
そうだな。
俺もみんなに会えなくて寂しいな」


極上のアイドルスマイルってやつで笑いかければ、ほら――…


「は…
は…颯斗のおならは――…
すっごく、すっごく、くさいんだからっ!!!」


教室のドアのかげから、ぴゅーっと小さい体が突進してきて、


「き…き…気絶するほど、くさいんだから――っ!!」


鼻をつまんで、しかめっ面をした顔で、脈絡もない中傷を叫んで、ぽかんとする女たちを尻目に、びゅーっと走り去っていく。


「ほんっと――…
バカなやつ」


でも、そこが可愛くて。
でも、それが可愛くて。
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