恋する事件簿【完】
第1部 ⑩〜笑顔〜
「ん……」
目が覚めると、見慣れない天井が見えた。
オレンジ色の夕焼けが降り注ぐ部屋。
「起きたんか?病院やで」
声がした方を向けば、難波が椅子に座り、ベッド柵に腕を乗せて、私を見せてる。
…そっか…。
倒れたんだっけ。
「………子供は?」
あの子は無事だろうか。
「大丈夫や。野神刑事から連絡が来てな、両親と大学病院に運ばれたらしい」
「良かった…」
無事なら構わない。
しかし、安堵する私に対し、難波は不服そうに、私の手を握って来た。
「何?」と聞けば、眉間にグッとシワを寄せた。