恋する事件簿【完】
「確かに、助かって良かった。
せやけどな、俺はお前に何かあったら困んねん」



「ごめん…」



…そうだよね。

難波は去年、洸佳さんを亡くしたばかりだ。

私まで…ってなったら、嫌だよね。

私だって、考えたら嫌だ。

耐えられない事だ。



「ん。もう無茶は止めろな」



「うん…」



空いた左手で頭を撫でられて、私はうっとりとしてしまった。

難波は「ガキやな」と言いながら、私の前髪を、目に掛からないように、指で流す。



「今日は入院かな…」



「寂しいんなら、付き添ってやんで」



…たく…。

いつまで上から目線なわけ?
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