恋する事件簿【完】
「用件は何」



「随分と偉くなったな?」



「お互い様」



…早く帰って。

私は父親から離れ、後退りする。

ジリジリと近付いて来る進がニヤリと笑う。



「付き合えよ」



「は?」



「次は最後まで抱いてやるよ」



…腐ってる。

どこまでも、腐ったヤツだ。

私が拳を握った刹那、デスクに座ってた那維斗が立ち上がった。



「人の女を口説くとは、えぇ度胸やな」



「あぁ゛?」



「ツンボなんか、てめぇの耳は。
いっそ、切り落としたろか?」



那維斗が私の頭に手を乗せた。

顔を覗き込んで来ると、ニコッと笑う。
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