恋する事件簿【完】
その後は、何事もなく仕事をこなす。
「これ、意味がわからないんですけど」
なのに、馬鹿には手を焼く。
「どこ」
「全部」
「……もう、やらなくて良い。
帰ったら?」
資料を整理させれば誤字脱字。
漢字を知らなければ、言葉の意味も知らない。
「あんたが刑事になれたのも、奇跡だね」
「親の力ですよ。山下さんも使ったでしょ?」
「使っ――」
「使ってない。芽依実も私も。
たかが次長の娘で、でしゃばるの止めた方が良いんじゃない?痛い目に遇うわよ」
私が言いたかった事を、 全て言ってしまった母親。
母親は通子さんに、作り直した資料を、「参考に」と、渡して居た。