恋する事件簿【完】
由良さんとヒソヒソと話してると、プルルル…と電話が鳴った。

坂田に指示され、井川が出る。



「もしもーし、刑事課でーす」



ーーガタンッ

間延びした電話応対に、みんながあんぐり顔。

兄貴に至っては、ペン立てを倒した。



「――火事から応援?ごめんなさい。間違い電話みた…」



意味が通じてない井川から、私は受話器を奪った。



「お電話代わりました、山下です」



『切られなくて良かったです。管轄内のオフィスビルにて火事。管轄外からも応援を要請中。出動願います』



「わかりました。無線610・611の2台にお願いします」



私は電話を切り、父親へと振り返った。
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