恋する事件簿【完】
父親みたいに、傷まで愛してくれる男は、珍しいと思うんだ。

母親の傷が、父親を守った勲章だからかも知れないけど…。

私の傷は。

弱さの表れ。

動けなかったから、出来てしまった。

もう少しちゃんと叱れてたら、出来なかったと、今になって思う。



「仕方ないよ。私が…悪かったから」



自業自得なんだ。

この火傷は。

両親がくれた体を、一瞬にして、傷付けてしまった。



「でも…お父さん、お母さん。
ごめんね……」



守れなくて。

大切に出来なくて、ごめんなさい――…。




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