恋する事件簿【完】
「お祖父様の権力を利用しないなら、貴方が上に上がりなさい」



「……」



「悔しくはないんですか、芽依実――ッ!!」



扇子を兄貴のデスクにバシッと叩き付けたおばあ様に、私は「悔しいですね」と呟いた。



「しかし、私は伸し上がろうとは思わない。実績がありますから。親の七光りで育った幼稚な人間とは、実力も違います。これからも、私はここの刑事です。仕事があれば、1人でも生きれます」



立ち上がり、プリントアウトした資料を取りに行く。



「芽依実ちゃん!」



由良さんが近付いて来た。
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