恋する事件簿【完】
私は目を合わさないようにする。



「…芽依実ちゃん…」



でも、見えてしまったみたい。

私の涙が。



「――芽依実ちゃん!私、警らの人たちに合コン誘われてて。断るのついて来てよ!」



「…う、うん…」



由良さんに手を引かれて課を出た。

エレベーターは下ではなく、上へと行く。

屋上に来ると、由良さんは「んーっ!」と、両腕を空に向けて伸ばした。



「芽依実ちゃん、私と知り合った時より不器用になったね」



「そう?」



「強がりにしか見えない」



私は「フッ…」と笑い、ベンチに座った。
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