恋する事件簿【完】
最後に課へ戻ると、母親の泣き叫ぶ声がした。



「芽依実が…あの子があんたに何かしたのッ!!?」



「してないでーす」



私は課に入り、財布と車キーをデスクに投げると、煙草を取り出した。

マスクをずらせば、傷が出るけど、もう気にするのは止めた。

引かれたって、構わない。

火を点け、天井に向かって紫煙を吐く。



「私は…今回だけお祖父様たちの権力でも使おうかな。
――井川を訴える。お祖父様の名を借りれば、もうたかが次長には、井川の罪も消されない。
あ、次長の奥様に力を借りるのもありだよねぇ゛っ!!」



堪えてた怒りを吐き出した。

堪忍袋の緒が切れたとはこの事。
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