恋する事件簿【完】
「…あんたがここに居る限り、私はいつか同じ目に合わすと思うよ。この顔と同じに」



私は井川を睨んだ。



「そっちが…悪いんじゃない…」



でも、井川も睨み返して来た。

兄貴が「睨めた義理かよ」と言ってるけど、気にしてないようだ。



「ずっと…私は見にくいあひるの子。あんたは白鳥だったんだから…」



「“白鳥”…?」



私は意味がわからず、母親を見た。

しかし母親も“さぁ?”と言うかのように、首を傾げた。



「小さい頃から、警視庁の中では有名だった。“可愛くて、賢い。さすが野神警視総監の孫”って」



全くその噂を知らない私。

私は誘拐を防ぐぞ為にもと、写真などは持ち歩かれてない。

だから警視庁で、有名になるわけがない。
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