恋する事件簿【完】
「謝れや」



「難波さん…?」



「芽依実に謝れ――ッ!!」



那維斗が井川の頬を叩いた音だった。

目を見開き、2人を見ると、那維斗が井川の胸倉を掴んだ。



「芽依実は何もしてへんのに、てめぇはどんだけ傷付けるんだよ!よくも顔にまで痕を残してくれたな――ッ!!」




「――止めとけ、難波!」



また殴りそうな那維斗を、父親が止めた。

井川は腰が抜けたのか、呆然としゃがみ込んだ。



「嫁入り前の娘を守るのは、親の務め。お前が悔やむな」



「そんなん関係ない。俺は彼氏で、主任たちは認めてくれた。それなのに…」



自分を悔やむ那維斗。

私は煙草を灰皿に捨て、那維斗に近付いた。
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