恋する事件簿【完】
母親の強さに圧巻しながら、私は通子さんに頭を下げた。



「モテる彼氏は大変よね。
犬飼は全くモテなかったから!」



「コラッ!」



「……;;」



…笑えない;;

苦笑しながら、犬飼さん夫婦から目を逸らした。

電話を終えた母親は、「時期長官は北斗?どうしよ、“警視総監の妻です”って、挨拶するの?」と、父親や兄貴に絡む。



「もう、何もないよね?」



「あ?俺は何もしてへんで」



「――馬鹿じゃないのっ!」



私に振り返り、ニヤニヤと笑う那維斗の背中を叩く。

ここにまた、いつもの時間が流れて来た。




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