恋する事件簿【完】
「それはどうだろうな」



しかし、会議もお開きになりそうになった時、部屋のドアが開いた。

「どうも」と、顔を出したのは兄貴で。

私は「何で居るわけ?」と、声を掛けた。



「左利きの回答は正解だ。
けどな、傷の深さを見ろ。力が弱いから浅いだろ。
これは、左利きの女が犯人。
恋愛感情の縺(もつ)れだ」



兄貴は私の頭に手を乗せて、「惜しかったな」と言う。



「別に?」



私が解決しなくても、警部の中の誰かが当てただろうし。

那維斗は「警部に向いてますね」と兄貴に笑い、帰る準備をした。
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