恋する事件簿【完】
「そうですか。仕事についてわかりました。次は、山下主任に一つ伺います。
娘さんの普段の様子を」



「“普段”ですか?」



「プライベートで、誰かに手を上げる癖があれば、仕事にも出るでしょう」



「――それは決してありません。
娘は仕事とプライベートの切り替えが、長年働いて来た我々より上手い。
また、人に手を出すのは、言葉で伝わらない時だけ。妻がそういう教育方針でしたから、娘は簡単に手は上げません」



「では、昨日の事は、どう説明されますか」



「査問委員会を開くのは、娘の事より、亀山刑事課長についてだと思いますけど」



思わず父親を見た。

父親は、私の味方。

ちゃんと、わかってくれてる。
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