恋する事件簿【完】
母親の隣が怖く、私は兄貴と那維斗の間で資料をファイルに挟んだり、ホッチキスで止めて行く。

兄貴が父親に“何とかして!”とアイコンタクトする度に、母親が兄貴をギロリと睨む。

“怒ってないわよ”とでも言うように。



「那維斗君、この摘発についてなんやけど、向こうにも系列の組があったよね?」



「あった。せやけど、今回の件に関与はなさそうやから」



「わかった。ありがとう」



…へぇ。

優秀なんだ。

清楚な美人で頭が良い。



「私に勝ち目あるのか?」



「誰と勝負してんねん」



「あ…」



思わず声に出してたみたいだ。

…危ない、危ない。
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