恋する事件簿【完】
「普通で良いよな?」



「もう俺は敬礼はしませんよ」



そんなに嫌だったのだろうか。

那維斗はスラックスのポケットに手を突っ込む。

兄貴も「それで良いか」と、同じ格好に。



「あれじゃあ、お父さんの写真と変化ないね」



「そっくりよね。眉毛が細過ぎだけど」



…眉毛?;;

眉毛が細いから、お父さんの方がカッコいいの?;;

本当、よくわからない。

親でも掴めない人だ。

フラッシュ音が聴こえ、私は兄貴と代わり、那維斗の左側に立つ。

そして、悴(かじか)む手をショートコートのポケットに入れる。
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