恋する事件簿【完】
第3部 ③〜布告〜
―――その日の夕方。
私は残務整理を済ませ、夜勤の父親と兄貴に「お先に」と声を掛けて、駐車場で待つ那維斗の元へ急いだ。
今日は兄貴も夜勤で居ないからと、那維斗のマンションに泊まる事にしたんだ。
2人は普段、夜勤は被らないけど、珍しく一緒な為、母親も実家に帰るみたいだ。
…ヤバい。
1階の廊下の天井に下げられた時計は18時20分。
那維斗を15分も待たせてしまった。
駆け足で裏口から出る。
「…何で?」
そこには、何やら楽しそうに話す那維斗と真壁さん。
那維斗は横顔しか見れないけど、真壁さんと、チラリと目が合う。