恋する事件簿【完】
ペンチを赤い線にかけた。

…これを、切る…。



「25秒…」



悩んでる暇はない。

私はタイマーの液晶を見て、決意を固めた。

息を吐き、手に力を込めた。



「12…11…じゅっ…」



ーービュンッ

液晶が消え、爆弾は止まった。

那維斗は本庁の爆弾処理班より、出来る人だ。



「「止まった…」」



私の後ろに居た課長たち2人が、脱力して床に座り込んだ。

ペンチとドライバーを工具箱に戻して立ち上がると、入り口から「芽依実!!」と聞こえた。



「那維斗…」



私の前に来た那維斗は、「頑張ったやん」と、頭を撫でて来た。
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