恋する事件簿【完】
『高校生が同じようにマンションのごみ捨て場に火を放った事件があった筈だ。確かに犯人は捕まった。けど、共犯が居たら?』



「あ…」



『警戒は俺が出す。お前ら2人は見聞が済んだら戻って来い』



「うん。お父さん…ありがとう」



プチッと切れた無線。

難波が私の手から無線を取り、元の位置に戻した。



「起きろや」



「…起きてる…」



しゃがみ込み、膝に顔を埋める。

難波が「どないした?」と、私の頭を掴んで持ち上げた。



「痛いんだけど」



「顔色、悪いで」



私は「疲れただけ」と、難波の手を振り払って立ち上がる。

体より、心が疲れた。



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