恋する事件簿【完】
第3部 ⑥〜感染〜
ようやく交代の時間となった。
引き継ぎを済ませたら直ぐに帰りたい私は、デスクの上を片付けた。
「おはようございまーす」
「おはよう。通子さんたちより早いね」
「通子さんと犬飼さん、まだ来てないんですか?」
坂田と出勤して来た由良さん。
母親が、通子さんたちがまだ来てない事を言うと、不思議そうに時計を見た。
8時10分。
いつもなら、8時には来てる人たちなのに。
「渋滞してるんだろ」
兄貴がクラッシュゼリーのコーヒー味を飲みながら言う。
「通子さんたち、電車通勤だろ」
坂田は脱いだコートを椅子に掛けながら言った。