恋する事件簿【完】
母親は携帯を出し、通子さんに電話を繋けた。

「大袈裟」と言う兄貴に対し、母親は「出ない」と呟いた。

父親は「30分までに来れば良い」と、新聞を畳む。

…那維斗のマンションに着くのは、9時かな。

私は真壁さんに「コレよろしく」と、早急の依頼書を渡した。



「わかりました」



受け取った資料を見ながら、鳴り出した電話に出る。

私は欠伸を漏らし、首を回した。



「え――…」



凍り付いた真壁さんの声に、みんなが注目した。

真壁さんは受話器の通話口を手で押さえ、叔父さんたちを見つつ、立ち上がった。
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