恋する事件簿【完】



「人、多いやんけ…」



ショッピングモールに着いた。

駐車場の満車具合からしてわかる状況なのに、那維斗は嫌そうに私について来る。

周りはカップルや家族連れで、1人ぼっちの人が見受けられない。

みんな、心がホカホカそう。



「欲しい物は?」



「芽依実があるんやろ?お前が先」



優しいんだか、面倒くさがりなのか。

私は那維斗と腕を組み、専門店街の靴屋さんに向かった。

お目当てのブーツと、兄貴の靴を決めた。

前から“買って来て”と、頼まれてたんだ。



「紳士物は、2足で20%オフらしいで」



兄貴の靴を決めて、レジに行こうとしてた私の足が止まる。

…那維斗の分も買っちゃえ!
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