恋する事件簿【完】
家に着くなり、那維斗の携帯が鳴り響く。
相手は兄貴らしく、仕事の電話のようだ。
私は電話の邪魔にならないよう、なるべく音を起てずに、食品を冷蔵庫にしまう。
「芽依実」
電話を終えた那維斗が私を呼ぶ。
「今からガサ入れやて。主任たちが出払ってるらしいから行って来る」
「わかった。いってらっしゃい」
私は玄関まで見送った。
閉ざされたドア。
幼稚園の頃の気持ちを思い出した。
飾り付けをしてる時に、仕事に呼び出された両親を、理解したフリして見送った気持ちを。