恋する事件簿【完】
開けっ放しだった冷蔵庫の扉を閉め、リビングへと行く。

雪が降りしきり、視界が悪そうだ。

ストーブを点けるのも忘れて、ソファーで膝を抱えた。

テーブルに忘れられた那維斗の携帯。

コートを羽織る時に、置いてて忘れてしまったんだろう。

私は行かなくて良かったのだろうか。

また兄貴が、“誕生日だから”とか、気を使ってそうだ。

そんな人だし。

…那維斗…。

膝に顔を埋める。

…無事に。

どうか無事に、帰って来て。

…何も。

何もありませんように…。




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