恋する事件簿【完】
何時間が経っただろう。
ピンポーンッと鳴る呼び鈴で体を起こした。
…那維斗?
確証もないまま、玄関に走った。
ーーガチャッ
「あ…」
けど、そこに居たのは那維斗ではなかった。
「ケーキショップ宝船です。
誕生日とクリスマスの特注ケーキをお届けに参りました」
「え…?」
「あれ。山下様ですよね?」
「は、い」
「良かった。後コレ。ご注文者の難波様から、この袋も渡して欲しいと頼まれました」
私は「ありがとうございます」と、ケーキの箱と、黒の光沢のあるジュエリーショップの小さな紙袋を受け取った。