恋する事件簿【完】
頭を下げて立ち去るケーキ屋さん。

私はリビングに戻り、電気を点けた。

テーブルに箱を置き、絨毯に直接、座って袋のシールを剥がした。

中からは、薄紫の封筒と、白い箱。

白い箱の中にはジュエリーボックス。

パコッと開けば指輪が。

…え…?

ダイヤの輝く指輪に、私は言葉が出ない。

…コレ…那維斗が…?

私は箱を膝に乗せて、封筒を開いた。

雪だるまが描かれた、1枚のレター用紙。



「那維斗…っ…」



朝、手ぶらだったのは、このサプライズの為だったんだろう。

口元を手で押さえ、嗚咽を堪えた。

那維斗がこんな事するなんて。

意外で驚き。

喜びに、涙が溢れた―――……。




< 304 / 336 >

この作品をシェア

pagetop