恋する事件簿【完】
第1部 ④〜看病〜
「何で俺やねん」
「嫌ならさっき断れば良かったでしょ…」
私のマイカー、キューブの座席位置を調節してる難波に白けた目を向ける。
「前が見にくいんやけど」
「サイドモニターあるけど…」
私がかなり気に入った車だというのに、こいつはあーだこーだ煩い。
「車、持ってないわけ?」
「あ?ヴォクシーあんで。実家に」
「そう。今度、貶してあげる」
それ位、させて貰わないと。
私が貯金して、ホイールやオプションまでも、拘って買ったモノを、“前が見にくい”とか言いやがって。