恋する事件簿【完】
それはそれはトラウマになったのか、父親は顔色を悪くした。

叔父さんが「どうした?ビザが切れたか?」とからかうと、固まった。



「主任!主任?;;」



那維斗が父親の前で手を振ると、「お前、売れない芸人みたいだな」と、呟いた。



「「えっ?;;」」



母親と叔父さんは、父親のボケに呆れたような声だ。

私は那維斗の肩を叩いた。



「何や…」



「真に受けてないで何か言いなよ!」



那維斗は初めて言われたであろう、父親のボケを真(しん)に受け止め、「結構、稼いでます…」と、ぶつぶつ言っていた。
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