恋する事件簿【完】
大人しく従うも、隙がないか見続ける。

手も声も震えてる。

…初犯だ。

近付いて来るサイレン。

私は隣に座るおばあさんに、マフラーを貸した。



「寒くないですか?」



「すいません…すいません…」



「大丈夫。安心して」



私が助けるから。

こんな犯人、捕まえてみせるから。

窓口のカウンターに置かれた札束を、鞄にしまってる犯人。

私は立ち上がり、「ねぇ」と声を掛けた。



「なっ!座ってろって言っただろ!!;;」



慌てて銃を構えた男に、私も外し忘れてた銃を見せる。



「私、【木ノ島警察署】の刑事」



手帳も見せれば、犯人は顔を蒼白く。

被害者は正気を取り戻した。
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