恋する事件簿【完】
ダイニングテーブルを見ると、1人分の土鍋が置いてある。

私はクスッと笑いながら、「うん」と頷いた。



「今、笑ったやんな?」



「だって…お粥が作れるとか、イメージないよ?」



難波に振り返りつつ、テーブルに近付き、土鍋の蓋を開けた。

…アレ。

母親が今まで作ってくれたのと違うような。



「ミルク粥や。お袋に電話して訊いたら、これがえぇんやて」



「そうなんだ。ありがとう」



椅子に座り、生卵を潰し、レンゲで混ぜた。

「いただきます…」と、熱々のお粥が乗っかったレンゲに息を吹き掛けて頬張る。
< 35 / 336 >

この作品をシェア

pagetop