恋する事件簿【完】
「シャワーとか浴びる?」



紫煙を吐き、難波を見ると首を縦に振る。

洗濯物の中から兄貴のジャージを取り、ソファーの隅に置くと立ち上がり、それを持って、教えたお風呂場に行ってしまった。



「はぁ…」



人に気を使うとか、慣れてないせいか疲れた。

煙草を灰皿に揉み消して、ソファーに倒れ込むと、脱ぎ捨てられたジャケットが頭に落ちて来た。

難波の香水が、ぷーんと鼻を掠める。



「…もう、ヤダ;;」



ドキッとして、自分が馬鹿らしい。

ジャケットを背凭れにかけ直して項垂れる。

…あー、しんどい。
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