恋する事件簿【完】
「怪我はない?もう、ビックリしたわよ……」



母親が私の頭や頬を撫でながら、泣きそうになってる。

つられるように、涙を溢すと、ぎゅっと抱き締められた。



「大丈夫。大丈夫…」



背中を擦られ、涙が増して来る。

…生きてる。

やっと実感した。



「泣かないの、芽依実」



「怖かった……」



どんなに危険な目に遇っても、覚悟が出来てない、突発的な事故には心が追い付かないんだ。

大人になっても。

強くなった気がしてても、中身は何も変わってなかった。



「すいません…っ!!」



私にぶつかりそうになった車の運転手が、兄貴たちに助けられると、いきなり土下座をした。
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