恋する事件簿【完】
この人が悪いわけじゃない。

声が出せず、首を左右に振るだけの私に代わり、母親が「貴方が軽傷で良かったです」と、優しく微笑んだ。

本当にそう思う。

私が怪我をすれば、この人は被害者から加害者へ。

または大怪我を負えば、今まで通りの生活を過ごせたか、わからないんだ。



「芽依実ッ!!」



「兄貴…と、お義父さんっ!!?」



叔父さんが出勤して来たと思えば、何故かじいちゃんまで居る。



「たまたま散歩してたら、お兄さんと会ってな。いや…ビックリした」



じいちゃんは私の頭を撫でると辺りを見渡し、父親に近付いて行く。
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