恋する事件簿【完】
「8時5分、放火の疑いで、連行します」



携帯を取り出し、時間を見がてら、兄貴に連絡を入れた。



「待ってくれ!女2人は関係ないんだ!」



しかし、話の途中で腕を掴まれた。



「私は今、話をしてるの。庇うなんてみっともない。君の話は後で聞くから」



「あんた…鬼だな」



私から手を離して、ボソッと呟く男子生徒に紫煙を浴びせた。

男の子が噎せると、「私たち、本当に見てただけ」と、罪から逃れようとし始めた。

どうして世の中は、こんな子供たちに溢れたのか。

善と悪の区別が付かない子供たちが。
< 52 / 336 >

この作品をシェア

pagetop