恋する事件簿【完】
「あ、銀行だけ寄って良い?」



「金ないなら出すで」



「振込やねん。だから待ってて」



お兄ちゃんが「そりゃしゃーないな」と言うのを聞きながら、2人を寒い外に待たせて銀行の中に入る。

―――もしも、振込を明日にしていたら。

私は那維斗さんと、ずっとに居れたのだろうか。

何も知らない私は、5台あるATMの前に並ぶ。

…3人か。

すぐに出来そうだ。

財布を胸の前で持ち、“何を食べに行くんやろ?”と考える。

夜は会えないけど、今、会えて嬉しかった。

お兄ちゃんが居なければ、デートみたいだ。
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