恋する事件簿【完】
兄貴と坂田が受ける時に、人数合わせで私も受けさせられたんだ。



「守優と坂田は一発で合格だが、これは難しい試験だ。また再試が出来るだけ良い事だ。頑張れよ」



隣からプリントを覗き込んで来た母親も、「兄貴は1回、落ちたしね」と言ってる。

私はプリントをデスクに投げ、煙草を銜えた。

試験という試験に落ちた事はない。

なのに…この結果。



「あり得ない。私が落ちるなんて…」



プライドの高さが、どうしても落ちた自分を許さない。

そんな私に父親は、「お前は赤と青の線が2本しかなかったら、どっちを切る」と言って来た。
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