恋する事件簿【完】
第1部 ⑧〜接吻〜
沈んだ様子で、課長室から出て来た2人。
謝ろうと思ったけど、体が動かない。
ジーッと2人を見てると、難波が床を蹴飛ばし、椅子ごと由良さんに近付いた。
「俺も手伝うから、また調べ直そうや」
「うん。難波君、ありがとう…優しいね」
ニコッと笑う由良さんに、難波は「普通や」と言いながら、自分の資料を貸した。
モヤモヤとする心。
上手く甘えられないし。
由良さんに対して優しい難波にムカッとする。
…私には、口調が悪いのに。
資料の整理をしなきゃいけないのに、握り締めた拳が開かない。