恋する事件簿【完】
「最低…っ…」



急騰室を出て、壁に手を当てながら、隠れ場所を探す。

涙を止めたい。

こんな姿で、課には戻れない。



「お前……」



「芽依実…」



なのに、そんな時に限って、難波と父親に遭遇。

私が顔を隠そうとも、父親に腕を掴まれた。



「何があった」



「…っ…」



「何があ……」



父親を見上げた瞬間、私の顔を見て黙った。

さっき唇を強く擦ったから、赤くなってるんだろう。

駆け出す父親。

腕が解放された私は、膝から崩れそうになった。



「先輩も、やりよるな」



しかし、難波が私の腰に腕を回して、それを阻止してくれた。
< 87 / 336 >

この作品をシェア

pagetop